青苧の苧引き(ヲヒキ)

2017.07.28

山形県大江町の青苧復活夢見隊が行なっている青苧栽培から糸づくりに参加させてもらっています。
2015年に東京農業大学の企画展で岩手県の自家用布について調べた際に、岩手は大麻が多いが他の地域では古くから自生している青苧から糸を作り、野良着を織っていたようです。それを知ってから身近な植物から布を作ってみたいと思うようになりました。

2017年5月に焼畑を行なった青苧畑が7月には背丈を超え2mほどに伸びていました。青苧は密生し生えており、脇芽が少なく真っ直ぐ伸びていました。
蔓や樹皮の採集の場合だと、梅雨や土用・半夏生など採取時期がデリケートですが、青苧の場合は夏(7月下旬)と秋の2回(9月中旬)、苧引きを行ないます。7月に刈り取った青苧畑からたった2ヶ月でもう一度繊維がとれるほどの背丈になるというのは驚きです。

早朝にその日のうちに苧引きをする分だけ刈り取り、水に浸しておきます。
茎から剥き取った表皮を苧引き台の上に寝かせ切れないスクレーパーのような苧引き具を使い表皮の硬い部分をさらに剝ぎ取り、芯と表皮の間の繊維部分だけ取り出します。それが苧引きです。上手い人の仕事をみているとシャッシャッと音を出しながら素早く手を動かし苧クソ(岩手では繊維以外のものをそう呼んでいた)を取っていて、体を大きく動かす仕事なので一見して荒っぽいように見えるがやってみると繊細さを要する作業で、刮げ落とす面が平らにしておかないとすぐ繊維を傷つけたり苧クソが残り、使い物になりませんでした。
出来上がった青苧は薄緑の色が美しく、繊細な糸ができそうです。

だいたいこういう作業を何人かでやっていると手を動かしながらおしゃべりになるのですが、今回の苧引き談義の中で面白かった話は、青苧は紅花染めをすると絹よりもよく染まるというものです。結工房で青苧を藍染めしたときもよく染まったので何か関係があるのかもしれません。
また、青苧の葉で黄色にも染まるようです。
これもやってみたいと思います。
あと、作業していた境内の鈴の房が青苧で作られ奉納されていました。良い感じです。